ニンテンドー3DS内蔵メモリや本体ストレージはシステム用に使われる

Qニンテンドー3DSについて。発売が来年の2月26日ということで、一番需要が見込まれるクリスマス商戦に向けて投入しなかった理由を伺いたい。年末に間に合わなかったのか。それに付随して、価格面でも2万5000円ということで、据置型のWiiよりも高く、ちょっと高めかなという印象を受けるが、その点についてどのようにお考えか。


Aまず、発売の時期についてですが、期初に予想いたしました時は、年内に発売できることが望ましいという考えで、その前提で期初の業績予想も作りましたし、計画もしておりました。実際に開発が進行し、現在量産を立ち上げる手続きをしているのですが、年内に市場投入すると十分な数を用意するのは難しいであろうと判断したこと、それから、製品の完成度においても発売を今日発表させていただいた期日にさせていただければ、私たちが十分と思えるところに届くだろうと考えました。
 プラットフォームのビジネスとしては、今年度の業績だけを考えていつ発売するかを決めるよりも、このプラットフォームが今後しばらくの間、任天堂の主力のビジネスとなるべく健全に立ち上がることが一番大事だと思いましたので、十分に完成度を高めると同時に、市場に混乱のないような十分な数量をそろえた上で発売することが望ましいという判断があって、この発売日にさせていただきました。しかしながら、そのことによって、今期の通期業績予想に関してマイナスの影響が及んだことは事実です。

 それから二つ目の「価格」ですね。「Wiiよりも高いではないか」とのご指摘ですが、携帯型ゲーム機というのは表示画面と一体になった商品で、単体で、それだけで何にもつながず遊ぶことができるものですから、「これまで携帯型ゲーム機据置型ゲーム機の値段の関係がこうだったから、そうあるべきだ」とは、必ずしも考えておりません。もちろん価格はお求めやすいほど良いわけですが、一方で原価の面から見て、ハードウェア、ソフトウェアを一体として、プラットフォームとして健全なビジネスを持続可能にすること、それから、実際にニンテンドー3DSというものの機能をご理解いただき、どれだけの価値を感じていただけるかということのE3以降の手ごたえ、その他を総合的に考慮して、この値段でご理解いただけるのではないかということで、今回この価格を提案させていただきました。



Qニンテンドー3DSのスペックについて。確か前回の説明会で、3DSはかなりハイスペックなマシンではないかという話をして、実際かなりハイスペックだったと思うが、今回従前と比べてスペックを大きく上げた背景には何があったのか。従来、岩田さんのお話では、DSでやり尽くしてしまったら新しいハードを出すというところがあったと思うが、これほど高いスペックのゲーム機がなぜ必要になったのかというところを説明してほしい。
 それに関連して、スペックをこれくらい上げてしまうと、「すれちがい通信」した場合にバッテリーが持たないのではないかという懸念も持っている。実際、『ドラゴンクエストIX』の時に「すれちがい通信」をするために、朝スイッチをオンにして、帰るまでずっとやっていると、バッテリーがなくなってデータが消えるということもあった。その点はどのような配慮をしているのか。
 スペック表を見ているとSDカードが同梱されているが、3DSにストレージ(記憶装置)は内蔵されずにSDカードから起動できるようにすると理解していいか。


Aまず、スペックですけれども、今回はいろいろな開発者の方にとって、「スペックが理由で、(任天堂のゲーム機では)自分たちのソフトが作れない」と思われることがないようにしたいというのが一番の理由です。もう一つは裸眼立体視なのですが、ずっとトライしてきて、今これで出せると思えた一つの理由は、裸眼立体視用の液晶の表示性能も、あるいは解像度もともかく、やはり本体が生成できるグラフィックスのリアリティとのバランスなのです。すなわち、「一定以上解像度がないといけない」「一定以上、立体視液晶の性能が高くないといけない」「一定以上リアリティのある絵が出せないといけない」ということが全部組み合わさって初めて、今日多くの方に体験していただいていると思いますが、あの3D表示のリアリティが出せているということもあって、そのバランスが3D表示のためにも必要だったということもあります。
 また、私たちが「すれちがい通信は面白かったけど、DSではここまでが限界だった」ということであったり、あるいは「DSを使っている時にちょっとそのソフトを中断してあんなことができたらいいのに、こんなことができたらいいのに」、という話は出ても「ニンテンドーDSのスペックではそれが難しかった」というようなことに対して、システム面で、具体的に言えば「どれだけメモリを積むか」とか、「CPUをどうするか」とかいろんなことが関与するのですが、そういうことについて強化をすると、ゲームを中断して何かをするということについてもいろんな提案ができそうだというようなことがあります。
 それから、3D表示とAR(拡張現実)技術は相性がいいのですが、ARを使おうとすると、ある部分で処理性能が必要だとか、いろんな要素を考えた結果、あの性能になりました。

 バッテリーについては、恐らくどうしても今までのニンテンドーDSよりは、頻度高めに充電していただく機械になると思います。なので、クレードル、専用充電台つきで販売させていただくのですが、これは、「家に帰ったらこの上に置いてくださいね」というイメージを持っております。
 それから、本体にストレージ(NANDメモリ)が搭載されていないわけではありません。ただ、それは主にシステム用に使おうと考えています。お客様のニーズというのは、非常に多様性があります。ほとんど拡張で使わないという方から、例えばニンテンドー3DSでいろんなソフトをダウンロードされる方もいると思うのですが、そういう場合たぶん、任天堂が標準で用意するSDカードでは足らなくなると思います。足らなくなった時に、「大容量のカードに差し替えたらそれで大丈夫」としたかったので、今回はSDカードを差し替えれば、まるで本体の記憶容量が増えたように、そこにソフトが記録できて、ちゃんとそこから直接起動できるといったことを意識した設計をしています。そのこととセキュリティの維持というのが、実は背反するポイントですが、そこの完成度はしっかり上げて世に問いたいと思っています。


とのこと。
ほかにも、質問がありますのでどうぞこちらへ
http://www.nintendo.co.jp/ir/library/events/100929qa/05.html